FR-4基材(JIS規格の名称はGE4F)は、耐熱性ガラス布基材とエポキシ樹脂から作られるガラスエポキシ基板(ガラス織布エポキシ樹脂銅張積層板)です。ガラス繊維を布状に編んだガラス織布に、エポキシ樹脂を染み込ませて生産します。高絶縁性・高強度性・耐熱性に優れています。
多層板の多くがこの特性を持っており、一般的に最も汎用性が高いと言われています。0.2mm~0.4mm厚の薄物から、2.0mm~2.4mm厚のマザーボードまで、幅広く使用されます。販売されている銅箔厚の材料も豊富で、そこからも汎用性の高さがうかがえます。
耐熱性に優れると言われながらも、位置的には一般的な耐性度向けと判断されています。そのため、量産品に用いられることも多いです。身近なものでは、ICカードやデジカメなどにFR-4が用いられています。
FR-4はガラスエポキシ基板の中では安価なタイプですが、よりコストダウンを図ろうとCEM-3に変更する検討するケースも見られます。CEM-3(JIS規格の名称CGE)は、ガラスコンポジット基板(ガラス不織布エポキシ樹脂銅張積層板)の1つです。難燃性エポキシ樹脂を含浸させたガラス不織布とガラス布、そしてエポキシ樹脂のプリグレグ(繊維に樹脂を染み込ませた複合材料)の3つで成り立ちます。
CEM-3は耐トラッキング性に優れており、ガラスエポキシ基板よりも安価で加工が容易という点がメリットです。両面板であるため、片面板では対応できない家電・AV機器関連・アミューズメント・一部の産業機器などで幅広く使用されています。
CEM-3はFR-4と比べて確かに材質グレートは落ちますが、コストダウン効果があるかと言えば実際のところイマイチです。置き換えによるコストダウン効果はあったとしても若干であり、基板層構成や銅箔厚設定値により大きな低減は見込めません。基材変更時には多少なりとも特性評価を確かめる手間を要するため、コストダウン効果目的の変更ならその可否はよく考える必要があります。
近い名称を持つものとしてCEM-1(JIS規格の名称CPE)もありますが、これはガラスコンポジット基板(紙ガラス織布エポキシ樹脂銅張積層板)です。難燃性エポキシ樹脂を含浸させた紙基材とガラス布、そこにエポキシ樹脂を加えて作られます。FR-4と比べて非常に柔らかいため、安価ですが用途に対する適正は考えなければなりません。